住宅ローンの審査とは
マイホーム購入時に住宅ローンを借りる場合、金融機関の審査に通らなければなりません。
金融機関の審査では、どのような項目をみられるのでしょうか。
住宅ローンの審査は、住宅ローンの貸し手である銀行などの金融機関によって行われる審査「仮審査」と、銀行などの金融機関に対して住宅ローンの債務保証をする信用保証会社によって行われる審査「本審査」の2段階で行われるのが一般的です。
仮審査では、住宅ローンを申し込んだ銀行などの金融機関内部での審査が主となり、本人確認、年齢、返済負担率、申し込んだ住宅ローン以外の借入状況などの項目を確認します。
仮審査の段階で問題がなければ、正式な住宅ローンの申し込みを行い、第2段階の本審査へ進むことができます。
ちなみにローンの審査が通ることを決裁、承認などと呼び、審査が通らなかった場合を否認、否決、非承認などと呼びます。
仮審査で決裁されたからといって、安心してはいられません。
この段階では、住宅ローンを借りることが正式に決定したわけでは無いのです。
仮審査は、基本的に金融機関の支店で行われ、本審査は金融機関の本部と信用保証会社で行われることになります。
本部や信用保証会社が行う本審査で決裁されてはじめて、住宅ローンの借入が可能となります。
本審査で否認または借入金の減額や、条件付決裁(保証料加算、他の借入金返済、連帯保証人の追加など)という結果が出る場合もあります。
(保証会社の審査を必要としない金融機関もあります)
信用保証会社は、住宅購入者から銀行などへの住宅ローンの返済が滞った場合、住宅購入者に代わって銀行などの金融機関へ住宅ローンの返済をすることになります。
そのため、申込者に返済能力があるか、物件に担保価値はあるかなど、より厳しい審査を行います。
仮審査の審査項目
これから借りる予定の住宅ローンを含む、全ての借入金の年間合計返済額の割合が次の基準を満たすことです。
- 1. 返済完了時の年齢
- 住宅ローンごとに、返済完了時(以下「完済時」といいます)の年齢が設定されています。
金融機関によって異なりますが、70~80歳までの間に設定されています。
住宅ローンの完済時の年齢が75歳と設定してあると、最長返済期間が35年間になっていても、50歳の人が申し込みする場合の返済期間は最長25年ということになります。 - 2. 勤務形態
- 融資条件の大前提は正社員ですが、勤務実態が正社員と同等である場合や、女性向けのローンなどで収入条件さえクリアすれば、契約社員や派遣社員でも審査を通る場合もあります。
- 3. 勤続年数
- 基本的に最低2~3年必要です。
金融機関は、安定した所得のある人に融資をしたいと考えています。 - 4. 返済負担率
- 返済負担率は、税込年収に対する返済額の割合を表すもので、以下のように計算します。
返済負担率=年間返済額÷税込み年収×100
(現在返済中の借入金があれば、上記の年間返済額に加えます。)
返済負担率は各金融機関によって異なりますが、概ね30%~35%程度のようです。
それぞれに定められた数値以内になることが審査をパスする条件になります。 - 5. 事業内容
- 会社経営者や自営業者の場合は、個人の年収だけでなく、事業の決算内容も審査項目に入ります。
いくら年収が良くても次のような場合には審査のマイナス要因になります。
- 会社の業績が悪い
- 事業資金の借入が多い
- 会社の借入金の連帯保証人になっている
- 6. 借入申込み金額と頭金
- マイホームを購入するときに必要な費用は、物件購入費用と諸費用になります。
この必要資金のうち、用意できる現金の割合をみます。 - 7. 健康状態
- 住宅ローンの審査で意外と重要になるのが健康状態です。
民間金融機関では団体信用生命保険への加入が必須となるため、健康状態が悪く団体信用生命保険に加入できない場合は、住宅ローンの審査は否認されます。
団体信用生命保険の審査は、通常は本審査時に行いますが、ご自身の健康状態に不安な人は仮審査時に、金融機関担当者にその旨を伝えましょう。
融資の審査に先行して、保険の審査から始めてもらう事も可能です。
ちなみに、「フラット35」の場合、団体信用生命保険への加入は任意となっています。
- 中村 諭(なかむら さとし)
- 住宅ローンソムリエ(R)、ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)貸金業務取扱主任者、オールアバウトガイド
千葉県市川市生まれ、「税理士・FPなどの専門家も相談にくる」住宅ローン・アパートローン専門のFP事務所を経営。
新聞、雑誌、ラジオ出演、講演、執筆と幅広く活躍中。