親からの資金援助を受ける際の注意点
住宅購入時に親からの資金援助を受けられる方もいるでしょう。その時に気になるのは税金の話し。資金援助を受ける方法によって、関係する税金が異なります。
親からの資金援助と税金の関係について、解説します。
もらう場合
親子間であっても「お金」をもらえば、それは贈与税の対象になります。
贈与税は累進税率が適用されるため、もらう金額によって税率は異なるのですが、最も高い税率は55%にもなります。
ところが、贈与税には非課税措置がいくつも用意されていますので、これらの制度を上手に使うことで、対策は可能です。
1.贈与税の基礎控除
1年間に贈与を受けた財産の合計額が110万円以下であれば、贈与税はかかりません。この基礎控除は、贈与税の申告をするか否かに関わらず認められます。
また、この時の財産とは、現金以外の物も含めて集計します。
2.住宅取得資等資金贈与の特例
1500万円(平成27年中の契約・省エネ等住宅の場合)までの住宅取得等資金の贈与にかかる贈与税が非課税となります。さらに上記(1)の基礎控除を加算することで、合計1610万円まで贈与税がかかりません。
また、上記「1」にかえて、「3」の相続時精算課税制度との併用は可能です。
この特例制度は、住宅取得等のための「資金」に限られ、贈与税の申告が必要です。
もし、現金をもらった後で、この現金を住宅ローンの返済にあてたのなら、この特例は対象外になるので要注意です。
【契約年別の非課税限度額】
住宅取得等の契約締結年月 | 省エネ等住宅 | 一般住宅 |
---|---|---|
平成27年12月まで | 1500万円 | 1000万円 |
平成28年1月~9月まで | 1200万円 | 700万円 |
※平成28年10月以降は消費税率によって異なる
3.相続時精算課税制度
20歳以上(その年の1月1日現在)の子が、親からの資金贈与によって自己の居住用に供する一定の家屋または、一定の増改築を行った場合、この住宅取得等資金の贈与については、相続時精算課税制度の適用を選択することができる。この場合の特別控除額(非課税枠)は、通常の相続時精算課税と同様に2500万円となる。
相続時精算課税とは、2500万円の特別控除額に達するまでの贈与は非課税とされるが、贈与を受けた財産はすべて相続財産に加算され、相続時に精算される仕組み。
かりる場合
住宅の取得に際して、親から「お金をかりる」場合です。
借りるのだから、実際に返済をしないと贈与となってしまいます。贈与とみなされると当然、贈与税が発生します。借用書を交わすなどの形式を整えて、実際に返すことが肝心です。
一緒に買う場合
住宅の取得に際して、親が提供してくれた「お金」の分を不動産の所有者名義に掲載する場合です。住宅の所有権を親と自分で共有することになります。
例えば4000万円の住宅を購入するに際して、親が1000万円提供し、その分の名義を持つ場合の、所有権の持分は「あなた:親=3000/4000:1000/4000」となります。
ただし、共有名義の不動産は、注意すべきことも多々あります。
- 中村 諭(なかむら さとし)
- 住宅ローンソムリエ(R)、ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)貸金業務取扱主任者、オールアバウトガイド
千葉県市川市生まれ、「税理士・FPなどの専門家も相談にくる」住宅ローン・アパートローン専門のFP事務所を経営。
新聞、雑誌、ラジオ出演、講演、執筆と幅広く活躍中。