「マンション」vs「一戸建て」買うならどっち?
「マンション」vs「一戸建て」買うならどっち?
マイホームの購入を考えるとき、まず初めに思い浮かべるのは「マンション」と「一戸建て」のどちらにすべきかという問題。地域によってはマンションの供給が少ない場合、あるいは都心部などで一戸建ての価格水準が高い場合など、あまり選択の余地がないケースもありますが、今回は「マンション」と「一戸建て」のどちらも選べるエリアを念頭に、それぞれの特徴を考えてみることにしましょう。
建物の形の違いは一目瞭然ですが、よく理解しておきたいのはマンションが「共同生活」の場であるということ。同じ建物の中に多くの世帯が住むため、協調性や社交性に欠ける人にはマンションが不向きなこともあります。
長く使用する建物を良好な状態に保つために適切な維持管理が必要なことは、マンションでも一戸建てでも同じですが、マンションは住民全員が協力して積極的な管理組合活動をすることが求められるのに対して、一戸建ては購入者やその家族が主役。維持管理の計画立案からその実行まで、すべて自分たちが主体となって行わなければなりません。自主的な行動が苦手な人には一戸建てが不向きなこともあるでしょう。
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マンション
- ○ メリット
- ・ 立地・利便性が高い
交通や買い物に便利な立地が多い - ・ セキュリティーに優れている
一戸建てより戸締りが簡単で防犯設備も充実 - ・ 間取り・広さ 効率的な構造
同じ間取りや床面積の一戸建てと比べて、無駄なくスペースを使うマンションの方が土地代が少なく済むため、安くなることが多い - ・ 室内の生活動線がフラット
生活空間に階段がないため、高齢者が暮らしやすい
- × デメリット
- ・ 管理費がかかる
毎月の管理費や修繕積立金の負担が大きい - ・ 車の利用
駐車場代が別途かかり、敷地外だと負担大 - ・ リフォームの制約
増築は不可能で、間取り変更が難しいことも - ・ 環境・音
遮音性能が劣るマンションでは、上下階や隣戸との間で音によるトラブルが起きやすいこともある
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一戸建て
- ○ メリット
- ・ 環境・音 静かで快適
繁華街から離れたエリアに建てられることが多く、閑静な住宅街などで周辺の住環境が優れている - ・ リフォームがしやすい
マンションに比べてリフォームや増改築が容易で、数十年後に建て替えが必要になったときも自分自身の判断で決めることができる - ・ 車の利用
敷地内に車庫やカーポートがあれば駐車場代が不要
- × デメリット
- ・ 近隣トラブル
敷地が狭いと日照を十分に確保できなかったり、隣地との間で境界をめぐるトラブルが起きたりすることもある - ・ 設備・仕様よりも土地代の影響大
大都市圏などでは、建物の使い勝手よりも敷地の面積によって価格が大きく左右される - ・ 段差・階段の不自由
高齢になったり足に怪我をしたりすると、日常の手入れや階段の上り下りなどが難しくなることがある
マイホームを購入するときには、頭金以外に登録免許税、売買契約書と住宅ローンの契約書に対する印紙税、住宅ローン手数料、住宅ローン保証料、火災保険料などが必要です。
これら の費用は購入する物件によって異なりますが、マンションか一戸建てかによる大きな違いはなく、新築住宅なら物件価格の3〜5%、中古住宅なら3〜7%ぐらいが目安です。
ただし、大半の中古住宅ではこれ以外に3%あまりの仲介手数料が必要。新築一戸建てでも同様に仲介手数料が必要となる物件が多くなっています。新築マンションでは逆に仲介手数料のいらない物件が大半です。
また、新築マンションは初めに修繕積立基金として20〜30万円程度の費用負担を求められることが多く、新築一戸建てでは自治体により15〜30万円程度の水道加入金を求められる場合もあります。
マンションか一戸建てかによって大きく異なるのは入居後の費用です。 マンシ ョンの場合、たとえば管理費の月額が2万円、修繕積立金が1万円、敷地外の駐車場を借りてその賃料が2万5千円だとすれば、1年間の負担は66万円に。将来の値上げを考えないとしても、30年間では1,980万円にもなります。
一戸建ての場合にも定期的なメンテナンスや修繕のための費用を用意しなければなりませんが、一般的な目安は30年間で200〜300万円程度とされています。それ以外に10〜15年おきに水回りなどの設備交換が必要となる場合もありますが、これはマンションの場合でも同じです。
また、マンションも一戸建ても毎年、固定資産税と都市計画税とが必要です。これは物件の立地条件などによって大きく異なりますが、同じエリアで考えるとマンションの場合は建物の税金が高めに、一戸建ての場合は土地の税金が高めになり、実質的にはあまり差がないことも多いようです。
それぞれに特徴があるマンションと一戸建て。もちろん予算や立地との兼ね合いもありますが、どちらを選ぶべきかは、一人ひとりのライフスタイルや好みによっても異なります。それではどのような場合にどちらが適しているのか?
次回の『「マンション」vs「一戸建て」徹底比較』では、具体的な例をいくつか挙げて説明いたします。
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平野 雅之(不動産コンサルタント)
個人向け相談業務などを取り扱う不動産コンサルタント会社「リックスブレイン」代表。20年余りにわたり、東京都や神奈川県を中心に不動産媒介業務(売買)に携わる。取引実務に精通する専門家の立場から「現実に即した実践的な情報」を、消費者に分かりやすく解説している。