消費税(中古住宅は消費税が不要です)
2017年4月に予定されている消費税率の引き上げを前に、住宅購入を検討されている方もいるでしょう。
住宅購入時において、消費税はすべての取引に課税されるのでしょうか?
「課税取引」「非課税取引」を項目別にみてみましょう。
課税取引と非課税取引
消費税 | 不動産 | 登記関連 | 融資関連 | その他 |
---|---|---|---|---|
課税 | 建物 (個人間売買除く) |
司法書士手数料 | ローン事務手数料 | 仲介手数料 引っ越し費用 |
非課税 | 土地 | 登録免許税 | 火災(地震)保険料 保証会社保証料 団体生命保険料 |
不動産取得税 固定資産税 都市計画税 印紙代(※) |
消費税は、原則国内におけるすべての商品販売や、サービスなどで”事業者”が行う取引に課税されます。
つまり、事業者ではない一般の個人が売り主の場合には、消費税は非課税となります。
例えば、中古住宅を購入する際に、その物件の売り主が「事業者」であれば、消費税がかかりますがその物件の売り主が「個人」で、その売却の仲介を、不動産仲介業者に任せている場合には、「建物」の売却費用には、消費税は掛かりませんが、「不動産仲介手数料」には消費税が掛かることになります。
「土地」の売買については、そもそも「消費されるものでは無い」という考えから、非課税取引としています。
「土地」の売買においても、不動産仲介業者が係る場合は、その不動産仲介手数料については消費税が掛かることになります。
納税額
不動産取得税額は、固定資産税評価額×税率の計算により求められます。
適用される税率は、不動産の種類によって異なり、土地・住宅用家屋の場合は3%、それ以外は4%となっています。(平成20年4月1日から平成30年3月31日まで)
しかしながら、個人の居住用の住宅の場合は、土地・家屋ともに軽減制度が設けられているので、期限内に申告すれば減税されます。
経過措置等
消費税率が8%から10%に上がれば、住宅購入に関わる費用負担が増すこととなり、消費者にとって負担になります。すると、8%のうちに買う人が増えることが予測されます。
つまり、駆け込み需要が生まれ、その反動として2017年4月以降には景気が冷え込む可能性があります。
また、税率変更の前後には、不動産売買契約等のトラブルも想定されます。
そこで、政府は次のような対策を講じています。
主な経過措置
2017年4月から10%に引き上げられる際、一定の経過措置が予定されています。
次の条件に合致する取引の場合には、消費税率は8%が適用されます。
購入物件 | 条件 |
---|---|
注文住宅 | 住宅の引き渡しが2017年3月31日までに完了 |
請負契約が2016年9月30日までに完了(引き渡し時期は関係なし) | |
分譲住宅 マンション |
住宅の引き渡しが2017年3月31日までに完了(売買契約の時期は関係なし) |
中古住宅 | 不動産会社を通す場合で、売買契約が2017年3月31日までに完了 |
不動産会社が売主の場合で、引き渡しが2017年3月31日までに完了 |
「住宅ローン減税」の延長
「すまい給付金」の増額(消費税10%適用時)延長
「住宅取得資金贈与」の非課税枠拡大(2016年10月)
これらを適用した場合、消費増税分以上のメリットが生じる可能性もあります。
増税前後の損得比較を行なうことが必要です。
- 中村 諭(なかむら さとし)
- 住宅ローンソムリエ(R)、ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)貸金業務取扱主任者、オールアバウトガイド
千葉県市川市生まれ、「税理士・FPなどの専門家も相談にくる」住宅ローン・アパートローン専門のFP事務所を経営。
新聞、雑誌、ラジオ出演、講演、執筆と幅広く活躍中。